DHは「指名打者」を指し、投手に代わって打席に立つ選手・役割のことです。
その選手を起用する制度が「DH制」で、公式の規則や大会要項では「指名打者ルール」と表記されることもあります。
大学野球でも、DH制が使われています。
東京六大学野球連盟と関西学生野球連盟では、2026年春からDH制が導入されました。ただし、DHに代打を出す場合と、DHが守備につく場合では、その後の扱いが異なります。
この記事では、大学野球でのDH制の採用状況と、打順・交代・二刀流選手に関する基本ルールを解説します。
準硬式野球の具体例も紹介するので、観戦するときや所属チームのルールを確認するときにお役立てください。
大学野球にDH制はある?採用状況と2026年の変更点
大学野球には、DH制を採用しているリーグや大会があります。
導入時期はリーグごとに異なるため、2026年が大学野球全体での導入年というわけではありません。
まずは、公式情報で確認できる例を整理します。
| 区分 | 連盟・大会 | DH制の採用状況 |
|---|---|---|
| 硬式 | 東京六大学野球連盟のリーグ戦 | 2026年春から導入 |
| 硬式 | 関西学生野球連盟のリーグ戦 | 2026年春から導入 |
| 硬式 | 東京六大学野球連盟の2026年春季フレッシュトーナメント | DH制を適用 |
| 準硬式 | 東京六大学準硬式野球連盟のリーグ戦・木村杯新人戦 | DH制を適用 |
※全リーグ・全大会を網羅した一覧ではありません。 対象年度や大会名を確認したうえで、各連盟の公式情報をご覧ください。
東京六大学・関西学生では2026年春から導入
日本高等学校野球連盟の2026年3月の解説では、同年から東京六大学野球連盟と関西学生野球連盟でDH制が導入されることが紹介されています。
両連盟の2026年春季リーグ戦の公式ページでも、ベストナインに指名打者の部門を確認できます。
準硬式・軟式は所属リーグや大会の規定を確認
準硬式野球にも、DH制を使うリーグがあります。東京六大学準硬式野球連盟の運営規則には、リーグ戦と木村杯新人戦でDH制を適用すると明記されています。
一方、この規定だけで、準硬式・軟式のすべてのリーグや大会について判断することはできません。硬式か準硬式かという区分に加えて、所属連盟・大会名・年度を確認することが大切です。
DH制とは?投手に代わって打つ指名打者の仕組み
DHは「Designated Hitter」の略で、日本語では「指名打者」と呼びます。
このDHを起用する制度が、公認野球規則5.11に定められたDH制です。
まずは、投手とDHを別々の選手が担当する一般的な形から見ていきましょう。
DH制の有無で打順はどう変わる?
DHを使わない場合は、投手も打順に入ります。
DHを使う場合は、投手の代わりにDHが打順に入り、打撃と走塁を担当します。

| 比較項目 | DHを使わない場合 | DHを使う場合 |
|---|---|---|
| 打順に入る選手 | 投手を含む9人 | 投手以外の守備者8人とDH |
| 投手の打撃 | 投手も打順に入る | DHが代わりに打つ |
| 守備 | 投手を含む9人 | 投手を含む9人。DHは守備に入らない |
DHを使っても、打順が10番まで増えるわけではありません。
打順は1番から9番までで、守備につく人数も9人です。 投手とDHを別の選手が担当するため、打順に入らない投手を含めると、先発出場する選手は10人になります。
なお、先発投手がDHを兼ねる形は、後述する別の規定に基づきます。
DHと代打の違い

DHと代打は、どちらも打撃に関わる役割ですが、使い方が異なります。
| 比較項目 | DH | 代打 |
|---|---|---|
| 役割 | 投手に代わる打者として、 あらかじめ指定された打順を担当する | 試合中、打順に入っている選手に代わって打つ |
| 指定・起用するタイミング | 試合開始前に指定する | 試合中の交代で起用する |
| その後の扱い | 交代などがなければ、 同じ打順で出場を続ける | 誰の代打か、その後に守備につくかなどで扱いが決まる |
たとえば「4番・DH」で先発した選手は、自分の打順が回ってくるたびに打席に立ちます。
一度打ったら役目が終わる、という制度ではありません。
DHを使うかは試合開始前に決める
DHを使う場合は、試合開始前の打順表にDHの選手と打順を記載します。
DH制を採用する試合でも、チームがDHを使わずに試合を始める選択はできます。ただし、最初に使わなかった場合、途中から新たにDHを置くことはできません。
また、DHの打順は固定です。4番のDHに代打を送った場合、その選手は4番を引き継ぎ、自由に別の打順へ移ることはできません。
DHの交代ルール|投手交代・代打・代走はどうなる?

DHのルールは、誰を交代させるのかを分けると整理しやすくなります。
ここでは、投手とDHを別々の選手が担当している場合を説明します。
投手だけを交代した場合は、DHが出場を続ける
投手Aに代わって、控えの投手Bが登板したとします。
投手Aは試合から退き、DHの選手には交代や守備位置の変更がない場合、DHはそのまま出場を続けます。
たとえば4番のDHは、投手がAからBに交代しても4番のままです。 救援投手Bが、自動的に打順に入るわけではありません。
投手を交代しただけで、DHが消滅するわけではないと覚えておきましょう。
DHに代打・代走を送ることはできる
DHに代打を送ると、その代打者が新しいDHになります。DHに代走を送った場合も、代走者がその後のDHを引き継ぎます。
たとえば4番のDHに代走を送れば、その選手は次に4番へ打順が回ったときに打席に立つことになります。さらに別の代打を送る場合は、追加の選手交代になります。
代打・代走を出しただけで、DHの役割がなくなるわけではありません。
ただし、交代で試合から退いた元のDHは、再び出場できません。
なお、先発DHは原則として、相手の先発投手に対して最初の打席を完了する義務があります。相手の先発投手が交代した場合や、負傷・病気で球審が出場不可能と認めた場合などには例外があります。
DHが守備につく場合は、打順の整理が必要

DHの選手を、試合の途中から守備につかせることもできます。ただし、その場合はDHの役割が消滅します。
たとえば、次のような単純な交代を考えてみましょう。
- 4番のDHが、左翼手の守備につく。
- それまで左翼を守っていた7番の選手が、試合から退く。
- 投手はそのまま投げ続ける。
- 同時にほかの選手交代は行わない。
この場合、元のDHは4番のまま左翼手となり、投手が7番に入ります。元のDHが、守備位置を引き継いだ相手の7番へ移るわけではありません。
同時に複数人を交代させる場合や、先発投手がDHを兼ねている場合には、別の確認が必要です。実際の交代では、退く選手・守備位置・打順を整理して通告しましょう。
DHが消滅する主なケース
「DHが消滅する」とは、そのチームが、その試合で以後DHを使えなくなることです。
単にDHを別の選手へ交代させることとは異なります。
通常のDHの規定では、主に次のような変更が消滅につながります。
| ケース | 具体的な変更の例 |
|---|---|
| DHが守備につく | DHだった選手を左翼手にする |
| 投手がほかの守備位置へ移る | 投手だった選手を右翼手にする |
| ほかの守備位置の選手が投手になる | 一塁手だった選手を投手にする |
| 代打・代走で出場した選手が、 そのまま投手になる | 代走で出た選手を次の守備から投手にする |
| 出場中の投手がDHの代打・代走になる | マウンドにいる投手がDHに代わって打つ |
この表は、先発投手がDHを兼ねる規則5.11(b)の特例を除いた整理です。
特例では、先発投手がDHとして打つこと自体でDHが消滅するわけではありません。
観戦するときは「投手が交代したか」に加えて、投手やDHが別の役割へ移ったかにも注目すると、選手交代を理解しやすくなります。
先発投手がDHを兼ねる二刀流のルール
公認野球規則5.11(b)には、先発投手自身をDHにも指定して出場させる規定があります。いわゆる「大谷ルール」と呼ばれるものです。
ここでは規則の仕組みを説明しますが、大学のリーグや大会での適用は、所属団体の規定を確認してください。
投手として降板しても、DHとして出場を続けられる
たとえば、ある選手が「先発投手」と「3番・DH」の両方で出場したとします。
この選手には、投手とDHという2つの役割があります。
投手として救援投手に交代した後も、DHとしては3番で出場を続けられます。反対に、DHを別の選手に交代しても、投手として投げ続けることができます。
| 交代の内容 | 続けられる役割 |
|---|---|
| 投手としての役割を終える | DHとしての出場 |
| DHとしての役割を終える | 投手としての出場 |
| 両方の役割を終える | その選手の出場は終了 |

一度終えた役割には戻れません。投手として降板し、DHで出場を続けていた選手が、再び投手になることはできません。
最初から投手兼DHとして出場していることが前提
この規定は、投手が降板したときに、途中からその選手をDHに変更する仕組みではありません。
最初の打順表で、先発投手とDHの両方に指定しておく必要があります。
また、投手兼DHだった選手が投手を退き、ほかの守備位置へ移る場合は、DHの役割が消滅します。「投手をやめてDHだけを続ける場合」と「投手以外の守備につく場合」を分けて考えましょう。
大学野球のDHに関するよくある質問
DHは何番に入れてもよいですか?
1番から9番まで、どの打順にも指定できます。
打撃を担当する選手だからといって、4番や9番に限定されているわけではありません。
試合前に指定した打順を、交代によって自由に変更することはできません。
DH制の試合でも、DHを使わない選択はできますか?
できます。
ただし、DHを使わずに試合を始めたチームが、途中からDHを使うことはできません。
大会としてDH制を採用していることと、チームがその試合でDHを使うことは分けて考えましょう。
DHの選手は守備練習をしなくてもよいのですか?
DHは、その試合で担当する役割を示すものです。
チーム内で守備練習をするか、別の試合で野手として出場するかとは別の話です。
その試合でも守備につくことはできますが、DHの消滅を伴います。
リーグ戦と新人戦では、DHの扱いが違うこともありますか?
大会ごとの規定を確認する必要があります。
たとえば、東京六大学野球連盟の2026年春季フレッシュトーナメントでは、開催要項にDH制の適用が明記されています。
「同じ連盟の大会だから」と推測せず、参加・観戦する大会の要項を確認すると確実です。
延長戦やタイブレークも、DHとは別の規定です。DHを使うかどうかだけで、延長の回数や試合の決め方まで判断することはできません。
まとめ|大学野球のDHは採用状況と交代ルールを押さえよう
大学野球でもDH制は使われており、東京六大学野球連盟と関西学生野球連盟では2026年春から導入されました。
準硬式にも、東京六大学準硬式野球連盟のようにリーグ戦などでDHを適用する連盟があります。
DHの基本は、投手に代わる打者を試合前に指定することです。投手だけの交代やDHへの代打・代走では、通常、DHの役割は継続します。
先発投手がDHを兼ねる規定は、通常のDHとは分けて理解しましょう。
所属リーグや大会の最新の規定と照らし合わせれば、出場時の準備にも、観戦時の選手交代の理解にも役立ちます。
